人の経験則依存からフィジカルAI養殖へ
労働人口の減少により、熟練者の技術継承や人材確保が困難になってきています。水産業も例外ではありません。新規雇用者への技術継承には時間を要し、特に、熟練者が経験的に獲得した暗黙知(一般的な言葉で定義できないスキル)の継承は大変難しいと言われています。NTTグリーン&フード(以下、NTT G&F)は、熟練者と新規雇用者の行動の違いから暗黙知となっているスキル・ノウハウを抽出し、形式知として言語化することによって、経験や勘に依存しない、業務フローの標準化をめざしています。また、標準化された業務フローを学習し、モデル化するAIと、最終的には物理的な作業をするロボットが融合するフィジカルAIを開発したいと考えています。

成長予測技術に基づく飼育条件の最適化
養殖事業において、光熱費、飼料代のコスト削減は大きな課題となっています。特に、陸上養殖設備のオペレーションは、設計者や熟練者の試行錯誤による経験値に基づいて行われており、日々の観察結果に基づいて、次の日の水温調整や給餌量を決めているのが実情です。
NTT G&FとNTT宇宙環境エネルギー研究所は、成長予測に基づく飼育条件の最適化をめざした共同研究を実施しています。この共同研究において、 NTT宇宙環境エネルギー研究所は、NTT G&Fのフィールドで蓄積された育成データや水温・給餌量などの運用データを学習させることで、出荷予定日における成長(質量・体長等)を予測する成長予測技術の確立をめざしています。NTT G&Fは、成長予測技術を活用し、飼育水温や給餌条件の違いが成長に与える影響を定量的に評価しています。
将来は、様々な養殖設備の構造・サイズに合わせた最適な水温制御や給餌計画の立案により、光熱費や飼料コストの削減と効率的な生産の両立を実現します。
